オフィスH  誠信の交わり

オフィスH(オフィスアッシュ)のブログです。世界から、豊かな物語を紡ぐ個性的なアニメーション映画や独立系作家に役立つ情報を紹介します。

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EPOC in CG vol.6のラインアップに、『Annie und Boo (アニーとブー』(画像)がある。
フル3DCGの、約13分のキャラクターアニメーションだ。
今回は、この作品が生まれた環境を、零細映画輸入業者の珍道中も交えてご紹介。

この短編は、ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州立フィルムアカデミーの学生が、在校中に制作した。
このフィルムスクールは1991年に設立された、高等専門校で、映画やTV番組制作に携わる専門家を養成する。
単位履修年数は、いちおう4年。
複数の学科があるが、全校生徒数は350~400名程度。
入学試験は厳しく、10倍の難関。
アニメーション学科で毎年10~12名しか受け入れない。
http://www.animationsinstitut.de/

少数精鋭で、プロを育てる。。。逆を言えば、「とりあえず、CGやってみたい」という気分では入学すらおぼつかない、ということ。
その卒業生に就職難はないそうだ。
ドイツもエンターテインメント産業が復活しているし、希望すれば欧州あるいはアメリカで働くことも可能だ。

私が海外作品を日本に持ってくるきっかけの一つは、このスクールだった。
ImaginaやSiggraphという、CG映像のスクリーニングで、とにかく印象深かった。
CGの技術はもちろんのこと、”映画”のお作法というか、ストーリーテリングを楽しめたのだ。

ダイムラークライスラーの本社がある、シュトゥットガルトから車で30分ほどのルードヴィヒスブルクに学校はある。
初めて訪問したのは、たぶん99年の6月。
アヌシー・フェスティバルの帰り道だったと思う。

フランスのアヌシーから、スイスを通り、ドイツへ鉄道で移動した。
交通費節約。
ルードヴィヒスブルクは、シュトゥットガルトのベットタウンで、日本人が来る場所ではない。
ヴュルテンベルク王国公爵の夏の離宮があるが、日本のガイドブックなんかに載っていない。
列車の旅は、幹線鉄道から分かれ、ローカル線に入る。
乗り換えが分からず、途方に暮れた。
英語が通じない。フランス語も通じない。
巨大な荷物をひっさげ、「日本に帰れないかも」と。
親切な、でもドイツ語しか話せない、おじいさんが寄ってくる。
下車する駅名の発音が難しくて、通じない。
筆談、ジェスチャ。
開き直ると、コミュニケーションは取れるもの。
6月にしては暑い日の夕刻、汗だくでルードヴィヒスブルクについた。

翌朝、1万キロの彼方からやって来た、紹介者もない、大企業の看板もない、日本人はフィルムアカデミーの門をくぐった。
こうして、今に続くフィルムアカデミーとの関係は始まった。

『Annie und Boo (アニーとブー』の監督Johannes Weilandは、7年くらい在学していた。
何本かの短編を制作しながら、ずーと居座っていた。
その間、『Hessi James』が米学生アカデミー賞にノミネートされ、その才能は開花した。

フィルムアカデミーには数回訪問しているが、彼にあった記憶がない。
今年の6月は、彼が属するスタジオ・ソイ(Studio SOI, http://www.studiosoi.de/)にも行ったが、会えなかった。
シャイらしい。
主人公アニーは、CGアイドルの要素がある。
顔の表情もキュート。
Johannesも、日本のCGアーティストに通じる部分がありそうだ。

EPOC in CG vol.6 公式サイト
http://homepage1.nifty.com/tollywood/epocincg/cg2005.html

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