お金にまつわる話です。
ある独立系のアニメーション監督さんと話す機会がありました。
流行言葉で言えば、世界のアニメーション界から”レスペクト”される方です。
創作意欲旺盛で、ちょうど30分くらいのアニメーションの進行中だそうです。
カナダ国立映画庁との共同企画も数年来持ち込まれているとか。
独立系作家として成功している、このアニメーション監督も、資金面での苦心は絶えないそうです。
小規模な制作チームなので、2000万円規模があれば、10分前後の作品には十分なのに・・・
別のアニメーション演出家からも同じような話を聞きました。
この演出家は、TVシリーズを得意とする名門スタジオの所属です。
昨年は、劇場公開作品も完成させました。
「30分程度の自主制作を作ってみたい」そうです。
ところが、その資金調達の目処は明るくないとか。
4,5000万円あると、日本で一流といわれる2Dセル画チームと制作ができるのに・・・
正月早々から、こんな事を書くのには理由があります。
世界最大規模と言われる、アヌシー・フェスティバルの国際コンペに日本からの出品が減っているのです。
理由はいろいろあるのでしょう。
最も厳しい理由は、「出したくても、作家が自由裁量で出品できる作品がない。あるいは作っていない」。
1999年からアヌシーの公式カタログがあるので、作品数を出してみました。
(下図)
比較のために、韓国からの出品数も出しましょう。韓国は、本国以外から出品された"韓国人"監督作品はカウントしません。
内閣府が主催するコンテンツ専門調査会デジタルコンテンツ・ワーキンググループというのを傍聴しています。
ジャパニメーションの大手制作会社から来た参考人が、「今、アニメーション界は金余りですよ」と証言していました。
確かに、数十億円、百億円が、銀行融資やファンドという形で提供されるようになりました。
制作関係の有限責任組合など、資金調達の方策もいろいろと出てきています。
しかし、このような”お話し”が通用するのは、5億円とか、10億円とか、もっと大きな金額の企画なのです。
独立系作家が、渾身の創造力を込めた短編映画を作ろうとする時。
自主制作映画を作ろうとする時。
海外から評価されて、合作をしようとする時。
数千万円規模の資金を調達できないのです。
百億円なんていう、雲をつかむような金額ではないのです、必要とされているのは。
数千万円程度の資金調達ができ、回収できるスキームを作らねばならないでしょう。
前述の監督さんはこんなことも言っていました。
「撮影やポスプロの設備を低額で利用できたり、信頼できる技術者が整った場がほしい」。
独立系でやっていると、制作資金の大半がフィルム現像やプリント、音響録音などに消えてしまうのです。
こういった場を整備し維持することに、毎年云十億円も必要ないでしょう。
国際コンペとは、創造性と多様性に富む作家が競う場。
そして、そういう作家が数多くいることが将来を明るくするというのを、アヌシーに参加してつくづく感じています。
日本は、コンテンツ大国を目指すそうです。
金融の商品ではない、作家の将来という先物に投資する仕組みを作らなければならないのではないでしょうか。
それには、日本の身の丈にあった金銭感覚でも回していけるのではないかと考えています。
図)
日本 韓国
1999年(日本特集年)
S 2 S 1
F 1
T 1
C 1
G 2(内1本は英国出品)
P 2
日本出品 8
2000年
S 3(内1本はカナダ共同制作*)
F 1
T 0
C 3
G 1(英国出品)
P 3 P 1
日本出品 9
2001年
S 2(内1本は仏共同制作*) S 2
F 1
T 3
C 0
G 0 G 2
P 0 P 3
日本出品 6
2002年
S 2
F 1 F 1(長編グランプリ)
T 1
C 0
G 0 G 2
P 0 P 2
日本出品 4
2003年
S 3(短編グランプリ) S 2
F 0
T 1 T 1
C 4(内1本は英国出品) C 1
G 2(英国出品) G 8
P 2 P 2
I 0 I 1
日本出品 9
2004年
韓国特集年
S 2 S 2
F 0 F 1(長編グランプリ)
T 2 T 1
C 0
G 0 G 3(他に、豪州出品作品が特別賞)
P 1 P 3
I 0
日本出品 5
2005年
S 1 S 1
F 0
T 0 T 2
C 1
G 1 G 2
P 1
I 5(内2本はカナダ出品) I 1
日本出品 7
S 短編作品部門
F 長編作品部門
T TV番組作品部門
C 受託制作作品部門
(教育、科学、産業用作品、広告、プロモーションフィルム、ビデオクリップ)
G 学生作品(卒業制作)部門
I インターネット部門
P パノラマ(短編のみ、本選外)
ある独立系のアニメーション監督さんと話す機会がありました。
流行言葉で言えば、世界のアニメーション界から”レスペクト”される方です。
創作意欲旺盛で、ちょうど30分くらいのアニメーションの進行中だそうです。
カナダ国立映画庁との共同企画も数年来持ち込まれているとか。
独立系作家として成功している、このアニメーション監督も、資金面での苦心は絶えないそうです。
小規模な制作チームなので、2000万円規模があれば、10分前後の作品には十分なのに・・・
別のアニメーション演出家からも同じような話を聞きました。
この演出家は、TVシリーズを得意とする名門スタジオの所属です。
昨年は、劇場公開作品も完成させました。
「30分程度の自主制作を作ってみたい」そうです。
ところが、その資金調達の目処は明るくないとか。
4,5000万円あると、日本で一流といわれる2Dセル画チームと制作ができるのに・・・
正月早々から、こんな事を書くのには理由があります。
世界最大規模と言われる、アヌシー・フェスティバルの国際コンペに日本からの出品が減っているのです。
理由はいろいろあるのでしょう。
最も厳しい理由は、「出したくても、作家が自由裁量で出品できる作品がない。あるいは作っていない」。
1999年からアヌシーの公式カタログがあるので、作品数を出してみました。
(下図)
比較のために、韓国からの出品数も出しましょう。韓国は、本国以外から出品された"韓国人"監督作品はカウントしません。
内閣府が主催するコンテンツ専門調査会デジタルコンテンツ・ワーキンググループというのを傍聴しています。
ジャパニメーションの大手制作会社から来た参考人が、「今、アニメーション界は金余りですよ」と証言していました。
確かに、数十億円、百億円が、銀行融資やファンドという形で提供されるようになりました。
制作関係の有限責任組合など、資金調達の方策もいろいろと出てきています。
しかし、このような”お話し”が通用するのは、5億円とか、10億円とか、もっと大きな金額の企画なのです。
独立系作家が、渾身の創造力を込めた短編映画を作ろうとする時。
自主制作映画を作ろうとする時。
海外から評価されて、合作をしようとする時。
数千万円規模の資金を調達できないのです。
百億円なんていう、雲をつかむような金額ではないのです、必要とされているのは。
数千万円程度の資金調達ができ、回収できるスキームを作らねばならないでしょう。
前述の監督さんはこんなことも言っていました。
「撮影やポスプロの設備を低額で利用できたり、信頼できる技術者が整った場がほしい」。
独立系でやっていると、制作資金の大半がフィルム現像やプリント、音響録音などに消えてしまうのです。
こういった場を整備し維持することに、毎年云十億円も必要ないでしょう。
国際コンペとは、創造性と多様性に富む作家が競う場。
そして、そういう作家が数多くいることが将来を明るくするというのを、アヌシーに参加してつくづく感じています。
日本は、コンテンツ大国を目指すそうです。
金融の商品ではない、作家の将来という先物に投資する仕組みを作らなければならないのではないでしょうか。
それには、日本の身の丈にあった金銭感覚でも回していけるのではないかと考えています。
図)
日本 韓国
1999年(日本特集年)
S 2 S 1
F 1
T 1
C 1
G 2(内1本は英国出品)
P 2
日本出品 8
2000年
S 3(内1本はカナダ共同制作*)
F 1
T 0
C 3
G 1(英国出品)
P 3 P 1
日本出品 9
2001年
S 2(内1本は仏共同制作*) S 2
F 1
T 3
C 0
G 0 G 2
P 0 P 3
日本出品 6
2002年
S 2
F 1 F 1(長編グランプリ)
T 1
C 0
G 0 G 2
P 0 P 2
日本出品 4
2003年
S 3(短編グランプリ) S 2
F 0
T 1 T 1
C 4(内1本は英国出品) C 1
G 2(英国出品) G 8
P 2 P 2
I 0 I 1
日本出品 9
2004年
韓国特集年
S 2 S 2
F 0 F 1(長編グランプリ)
T 2 T 1
C 0
G 0 G 3(他に、豪州出品作品が特別賞)
P 1 P 3
I 0
日本出品 5
2005年
S 1 S 1
F 0
T 0 T 2
C 1
G 1 G 2
P 1
I 5(内2本はカナダ出品) I 1
日本出品 7
S 短編作品部門
F 長編作品部門
T TV番組作品部門
C 受託制作作品部門
(教育、科学、産業用作品、広告、プロモーションフィルム、ビデオクリップ)
G 学生作品(卒業制作)部門
I インターネット部門
P パノラマ(短編のみ、本選外)
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