オフィスH  誠信の交わり

オフィスH(オフィスアッシュ)のブログです。世界から、豊かな物語を紡ぐ個性的なアニメーション映画や独立系作家に役立つ情報を紹介します。

東京にも東京国際アニメフェア(TAF)というイベントがあります。
東京都が始めて、今年から民間運営に移りました。
来年が民間の初開催になるそうです。

わたしも、初回から海外の短編作品を上映するということで、お手伝いしてきました。
世界最大規模のアニメーションフェスティバル「Annecy(アヌシー)」の受賞作上映もありました。
数カ国の作品を集めて、特別上映プログラムを編成したこともあります。
毎年、ステージ担当になった協力企業の担当者が熱心な方々で、
TAFで主流なテレビアニメと違う、海外の独立系作家の短編でも、
「こういった作品のファンを増やすこともたいせつ」と言い、
「国際という名にふさわしく、国際的な作品を集めたい」と、
予算繰りも、環境整備もがんばってくれました。

事務局が変わり、来春の上映企画はどうなるのかと思っていましたが、
連絡もなく、忘れていたところ、数日前に「来年もよろしく」というメール。
しかし残念なことに、「民間になり、(予算がないため)無償でお願いしたい」と。
・・・
うーん、よくわからない理屈だな・・・

複数の権利者が持つ作品を集めて、映画1本分くらいの”プログラム”にするには、いろいろな経費がかかります。
海外なら、フィルムやテープを取り寄せるのに国際郵便料も必要です。
日本とテープ規格が違う国の作品は、”変換”をしなければなりません。
外国語の台詞があれば、翻訳して、字幕制作や吹き替え収録の手間と費用がかかります。

作家に事情を丁寧に説明し、ご理解いただいて、上映料が無償になったとしても、必要経費は発生します。
それが、コンテンツを一般に公開するということです。

TAFという”コンテンツ”を大事にしなければならないイベントの事務局が、予算も用意せずに、
「世界の作品上映をしたい」と言うのです。
大手制作会社やテレビ局が”宣伝目的”で、自前のコンテンツを無償で出しているのと同じやり方で、世界中から”コンテンツ”を集めようというのです。
独立系プロデューサーや作家が、制作費を工面して、大切に作った作品を・・・

事務局のリクエストは、
「アヌシーの作品が無理なら、ほかの”受賞作品”はありませんかね?」
わたしも、キレてしまいました。
「名だたる映画祭で受賞した作品には、TAFに無償で出す必要はないですよ」。

”コンテンツ”で世界一になると、日本の政府を筆頭にビジネス界のみなさんは騒いでいます。
しかし、”コンテンツ”を制作した人、その作品の価値を見いだした人、その作品を世に出す苦労をした人たちへの報酬をケチる者に、必要な経費すらケチる国に、”コンテンツ”世界一を名乗る資格はあるのでしょうか?
…大それた疑問かな。
でも、みなさんはどう思われますか?

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