オフィスH  誠信の交わり

オフィスH(オフィスアッシュ)のブログです。世界から、豊かな物語を紡ぐ個性的なアニメーション映画や独立系作家に役立つ情報を紹介します。

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カナダのトロントで、2つのアニメーション・スタジオを訪問しました。

1つは、老舗のC.O.R.E.(C.O.R.E. Digital Pictures, http://www.coredp.com/ )。2次元、3次元、伝統的技法から最新CGアニメーションまで、幅広くこなすスタジオです。
やっぱり、得意はCGアニメーション。
ディズニーの最新作『Wild』をアニメーションコンセプトから制作全般まで受託したそうです。
動物が主人公で、ファーの表現や目の動きがとても良かったです。
このスタジオは、現在5本のTVシリーズを進行中で、長編映画のような大きなプロジェクトが入ると、スタッフが300名くらいまでふくれあがるそうです。

もう一つは、STARZ Animtion (http://www.starz.com/starzmedia/animation/)。
昨日スタジオ開きがあり、お招きいただきました。
ここは、元来トロントにあった小規模なスタジオが、アメリカのLiberty Capital Corp傘下に買収され、トロントでも1,2を競う規模のスタジオとして再出発しました。
フル3DCGアニメーションを得意とし、長編劇場映画、TVシリーズを中心にどんどん受註していくらしいです。既に、ティム・バートンの次回作『Nine』(?)の制作が決定しています。
ここも、最大350名くらいの規模になる計画。

どちらも、素晴らしい環境&創作力&技術力で、CGアニメーターやデザイナーとして腕を競うには申し分ないスタジオです。
しかも、ハリウッドやNYの業界と密接な関係があり、世界市場を狙う企画が入ってくる。
トロントは、もともと実写映画やドラマのロケーション場所で有名で、それにともないアメリカのエンタテインメント業界との人的ネットワークを培ってきました。
そして、今、オンタリオ州政府もディジタルメディア産業を優遇する政策を始めている。
これからも、制作需要の高まりが見込まれます。
日本で小さな企画にしか参加できないとか、本当にやりたい仕事に就けないという、”Mayaが使える”あなた・・・どうです、トロントのスタジオに応募してみませんか?

ただし、アニメーター、デザイナーのレベルが極めて高いようだから、そう簡単にはスタジオに入れないみたですけど・・・がんばって!

追記:トロントは住宅費が高騰しているそうです。カナダドルも米ドルと換算レートが1:1になるほど強くなっています。かつてトロント、モントリオール、バンクーバーで映像産業が盛んなのは、アメリカに比べてコスト安だからと言われていました。
ところがです、もうそんな時代ではないようですね。
それでも、300人のスタッフを抱えるスタジオがあるということは、それだけの仕事がトロントに入ってくるということ。
カナダ国内の市場性は限られているから、つまりはアメリカの東西海岸にある映像産業とのつきあい、さらには拡大欧州、そして世界市場を狙っているということなのでしょうね。
カナダ人と話していると、「自分が、デカイ企画を世界に持って行くんだ」という虚栄を感じないのです。では、どうして?
内心で、「わたしたちは、世界中で稼ぎまくる”アメリカの人たち”と太いパイプを持っています。その人たちと上手く付き合うことで、わたしたちの存在意義が出るんです」と囁いているようです。
存在意義とは? creativity、です。
そんなもの比較できるかと思っていますか? カナダ人は自信を持って言い切ります。
creativityの源泉は、もちろん人ですね。

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