オフィスH  誠信の交わり

オフィスH(オフィスアッシュ)のブログです。世界から、豊かな物語を紡ぐ個性的なアニメーション映画や独立系作家に役立つ情報を紹介します。

ひさびさ、この書庫に。
マイブーム「堤真一」、元気に続いています。
映画公開などがあり、春から初夏に掛けて、堤さんのメディア露出も増え、ウキウキでした。
そして、やっと「クライマーズ・ハイ」を見て参りました。
主演映画でもあり、共演は話題の人から重鎮まで重厚なキャスティング。男(体育会系おっさん)のドラマに期待を膨らませて・・・

うーん・・・なんとも、辛いなぁ。
感想を一言にすれば、とっちらかった映画。

もうすぐ”あの日”がやってくる、1985年に起こった日航123便墜落事故を追う、群馬の地方新聞の編集局のお話で、堤さん演じる全権デスク・悠木和雅が主人公。
映画は、記者や編集スタッフだけでなく、悠木の個人的な逸話、谷川岳登頂を目指す23年後の姿を織り交ぜながら進む。
だからなのか、なんなのか、焦点のぼやけたものになってしまった。
520名もの犠牲者を出した大惨事を追う記者たちの掘り下げも、悠木の人間的掘り下げも、どっちつかず。
(犠牲になった人たち、その家族たち、救助の人たち、日航と社員達、事故原因を作った人たちも何もかも)
上映が終わって、2時間半が経っていたのに驚いた。
面白くて時間を忘れるというのとは違う、「おやおや、この映画、何が言いたかったの?」。

1985年のあの日、某旅行会社に勤めていたわたしは、お盆出発の準備で残業をしていた。
そして、事故発生をかなり早い時点で知った。
映画にもあったように、「満席のジャンボ機が消えたらしい」と、日航担当の営業が伝えた。
誰もが「まっさかぁ」と思い、「こりゃ、まずいぞ」とおののいた。
墜落が確実視されても、墜落現場が特定できないという異常な状態で一晩が過ぎたのを覚えている。
そして、あの事故現場。奇跡の生存者救出シーン・・・
いまだに多くの人の記憶に残る凄惨な航空機事故。
誰が事故に遭っても不思議でないほど飛行機の利用が増えた今日。

監督(原田眞人)さんには申し訳ないけど、23年後の今、映画化した意味が分からないほど凡作だった。
”悠木とその人間模様”を描くのに、日航機事故という舞台仕掛けが必要だったのだろうか?
俳優たちは良くやっていたと思う。
しかし、登場人物たちの葛藤なり何なりが伝わらない。
編集局にざわめきはあっても、地元の大事故を突き詰める緊張・手筈が伝わらない。
そして、あの事故に関係した人たちの苦悩が見えてこない。
怒声、罵声ばかりで、クライマーズ・ハイの名にちなむ”興奮状態が極限にまで達し、恐怖感がマヒする”のも画面のこちらにやってこない。
どれもこれもステレオタイプな映像とセリフ、舞台回し・・・
演出力が、大事故にまつわる人間を描くに至っていなかったのだろうか。残念でならない。

最後に堤さん。
思うのですが、堤真一という役者は、主役を張るよりも、脇にいて主役を食うくらいの時の方がいい。
出ずっぱりなのは、ファンとしては嬉しいが、ぴりりと聞いた存在感の役を望むのは、贅沢かしら・・・?

コメント

コメントフォーム
記事の評価
  • リセット
  • リセット