オフィスH  誠信の交わり

オフィスH(オフィスアッシュ)のブログです。世界から、豊かな物語を紡ぐ個性的なアニメーション映画や独立系作家に役立つ情報を紹介します。

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こんにちは、オフィスHの伊藤です。

12月のお知らせ~その3です。

フランスのフォリマージュ(Folimage)の講演会「これがフォリマージュのアニメーションだ!」が東京工芸大学でおこなわれます。
学外の方も参加できるので、アニメーションに関わりの深いみなさん、どうぞご参加ください。

<<東京工芸大学 特別講演会>>
■日時:12月20日(土)、午後1時20分から
■会場:東京工芸大学 中野キャンパス サンワードホール
■参加方法:参加無料、事前申し込み不要です。当日会場へお越しください。満員の場合は入場をお断りすることもありますが、予めご了承ください。
■日本語通訳がつきます。

フォリマージュは、創立20年を超える独立系アニメーションスタジオです。
フランス南部の古都ヴァランスで、“ここでしかできない”ストップモーションアニメーションを作り続けています。「パリに出てこい」という誘いもあるそうですが、「ここでしかできない」を頑なに守っています。
頑なさは作品にも貫かれています。こどもたちが夢とアートを見られるエデュテインメントを得意とし、数々のヒット作も送り出してきました。

講演会には「Short Film to Feature Film」というサブタイトルをつけました。
フォリマージュの主要作品はテレビ番組ですが、独立系作家の制作支援「La Residence」(アーティストインレジデンス)でも有名です。
『岸辺のふたり」マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィットさんの出世作『お坊さんとさかな』はフォリマージュで作られました。ヴァランスのスタジオに縁深い作家は枚挙にいとまがありません。

短編は商業ベースに乗りにくく、作家たちは創作意欲と現実の狭間で苦労することも多々あります。「La Residence」は、作家たちの制作心を支えています。
そして、フォリマージュは短編・番組制作から、自主企画の長編へと活躍のステージを広げました。
創立者の一人、パスカル・ルノートルさんがフォリマージュの今日を紹介します。

講演会の後半では、短編『L’egoiste(エゴイスト)』(トップ画像。(c) Folimage)で世界舞台に躍り出た作家ユニット、ジャンル・フェリシオリさんとアラン・ギャニョルさんが登場します。
アニメーション担当のフェリシオリさんと脚本担当のギャニョルさん、それぞれの個性と才能が相乗的効果を上げ、代表作『Les tragedies minuscules (ありふれた悲劇)』シリーズ、『Le couloir (廊下)」などを送り出してきました。
そして、二人も長編アニメーション『Une vie de chat(仮題・猫の一生)』制作の真っ最中です。

スタジオのフォリマージュ、独立系作家のフェリシオリ&ギャニョル、より多くの人たちに、アニメーションの美しさを知ってもらい、作品の世界観を楽しんでもらうには、劇場公開が必要だったのです。その道のりをご紹介します。


■お知らせ
既報のとおり、パスカル・ルノートルが監督・プロデュースした人形アニメーション『冬のレオン』が、12月23日(祝)午前9時半~(BS冬休みアニメ特選)で放映されます。
作品の紹介もHNewsバックナンバーをご覧ください

★フェリシオリ&ギャニョル制作の短編『廊下(Le couloir)』がDVDで発売されています。
コロンビアミュージックエンタテインメントの「Europe animation ~ Folimage 「ハッピーエンドの不幸なお話」その他の短編」

★フォリマージュの「La Residence」短編集が放映されます。
カートゥーンネットワークの「CARTOON MIDNIGHT」で、2009年1月9日と17日

■わたしとフォリマージュ
わたしは、10年近く前、アヌシーのフェスティバルでフォリマージュに出会いました。
スタジオの長編第一作、ジャックレミー・ジレールさんが監督した『La profeties des grenouilles』(仮題・カエルの予言)の制作発表の場でした。
スタジオ創立者の3人、監督のジャックレミー・ジレールさんとパスカル・ルノートルさん、そして音楽監督・作曲家のセルジュ・ベセさんが、世界から集まったアニメーション関係者に祝福されていました。
そこは、フォリマージュへの尊敬と作品への期待に満ちていました。
わたしも、尊敬される人たちの創造に加わりたいと強く願ったのを覚えています。

「カエルの予言」は、フランスで100万人の動員記録を達成し、大ヒットとなりました。
そして、今週12月10日に長編第二作、ジレールさん監督の『Mia et le Migou』(仮題・ミアとミグ)がフランスで公開されました。
公開初日、全国放送France2は昼のニュースで本作を紹介しています。日本でいえば、スタジオジブリ並の扱いです。
奇しくも今年は、ミグの声を演じたダニー・ブームさんが主演&監督作『Bienvenue chez les Ch'tis』でタイタニック的メガヒットを飛ばしているとか
また、映画は環境保護をテーマにしていて、エコへの関心の高まりと共に、絶好のタイミングです。

遠くフランス・ヴァランスからやってくる、パスカル・ルノートル、ジャンル・フェリシオリ、アラン・ギャニョルの講演をご堪能ください。