オフィスH  誠信の交わり

オフィスH(オフィスアッシュ)のブログです。世界から、豊かな物語を紡ぐ個性的なアニメーション映画や独立系作家に役立つ情報を紹介します。

あの「アニメの殿堂」「国営マンガ喫茶」のつづきです。
今日は、おフランスの革命記念日、俗に言うパリ祭ですね。
「パリのJapan Expo」の回で書いたように、フランスの高級紙Le Monde(ネット版記事)あたりじゃ、このセンター建設が日本で議論になっていることを紹介しているみたいです。

さて本題。
文化庁が、「「国立メディア芸術総合センター(仮称)」について、皆様のアイディアをお寄せ下さい」と意見募集をしていました。昨日13日午後5時に締め切り。
せっかくなので、これまでの検討会を傍聴し、基本計画とやらを読んで考えたアイデアを送ってみました。
・・・締め切り時間を大幅に遅れた、14日午前1時でしたから、読んでくれたかなぁ。

ここでも私見を公表したいと思います。その前に一言。
アイデア募集もいいけど、いっぱい来るだろう、バラバラのアイデアをどのように収斂するんだろう???
良くあるでしょ、地元自治体でも行政が「市民参加」という名目で、公共事業する前に「ご意見を募集します」という、あれ。
結局、出した意見はどのように処理されたのか?一覧表以上に・・・
こういうのを、「行政の言い訳」って呼んだりして。

17日(金)15時~17時、文化庁で、
国立メディア芸術総合センター(仮称)設立準備委員会(第4回)が開催されます。
傍聴できますよ。

さて、今朝午前1時にメール送信した、伊藤裕美のアイデアです。
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文化庁文化部
国立メディア芸術総合センター設立準備室御中

期日を過ぎておりますが、アイデアを送付いたします。

A.事業内容について
対象とする分野の多様さ、予想される運営費の大きさから、事業内容は厳選して、立ち上げるべきと考えます。
緊急経済対策という目的を考え、対象分野の作り手(サプライサイド)が抱える問題の解決および経済的発展に寄与する事業とすべきであります。
厳選した事業で立ち上げ、センターが軌道に乗った時点で、次に必要となる事業を増やしていくのが賢明であると考えます。

具体的な事業について:
「人材育成・普及啓発」「情報収集・提供」「他機関との連携」を最優先とすべき。ただし、人材育成で「新しい学校」を作る必要はありません。
また、「人材育成」というよりも、「第1作、第2作の制作を支援する基盤」というが必要ではないかと考えます。「アーティストインレジデンス」も検討対象とすべき。
さらに、プロとして活躍する人たち、特にフリー作家/独立系スタジオなどが利用できる、制作設備の提供、全国の施設情報の提供などもおこなうべき。
このセンターが「ハブ」の役割を果たし、既存の民官機関と連携を図りながら、サプライサイドの課題に取り組むべき。
経済産業省と連携し、”文化産業”政策として取り組むべきと考えます。制作現場の労働条件や、制作会社の受注条件の改善などの課題の改善にも取り組むべき事業と考えます。
また、林委員、古川委員等が発言されているように、作り手が集える場、作り手が主体的に関与できる場に賛成します。

「情報収集・提供」「他機関との連携」に付け加えれば、「国際力」の充実があります。このセンターがハブの一つとして、民官が推進する国際事業を支援してはいかがでしょうか。国際合作など、ユニジャパンの支援等も重要でしょう。

「収集・保存」は、このセンターの緊急事業とは思われません。フィルムセンターの独立を前提に、「アニメーション」「メディアアート」などの新部署をフィルムセンター内に新設することで、十分と考えます。
あえて必要とするならば、コンテンツのオンラインカタログの充実はあります。VIPOのアーカイブ(補足「Japan Content Showcase(ジャパン・コンテンツ・ショーケース)」)は不充分につき、さまざまな日本のコンテンツを内外に発信するカタログを立ち上げるべきと思われます。その事業は、このセンターが担うのは順当であろうと考えます。

「展示・上映」は、このセンターの緊急事業とは思われません。
メディア芸術祭は、現在の規模、開催場所で十分と思われます。その作品の収蔵はフィルムセンターと調整すべき。また、メディア芸術祭の規模を元に計算する収益性では、赤字運営が必然と予想され、この経済状況にあって、赤字のハコモノを増やすのは国民が納得しません。収益性ある事業ならば、民間に任せるべきです。
上映は、都内には十分な上映場があります。問題は、小規模で商業性の低いコンテンツが上映できる条件にないことです。さらに、国立で新上映場を作ることは、民業圧迫になります。それよりも、既存の上映施設で、多様なコンテンツが上映されるような支援を充実させる方が、利用者・観客、民間の上映施設、コンテンツホルダーの三者にメリットが大きいと考えられます。


B.施設内容、規模について
事業内容を精査した上で、緊急経済対策として必要な施設の内容と規模を決定すべきであり、117億円に縛られるべきでないと考えます。
「人材育成・普及啓発」「情報収集・提供」「他機関との連携」は、収益性が高くないため、運営のために予算は有効に使われるべきで、施設は国内で利用可能な空きスペースをリノベーションして使用するのが賢明と思われます。

今後、事業の成功により国民の理解が得られれば、施設の拡充もあり得るでしょう。


C.管理運営について
運営は、民間の創意工夫に任せ、自主独立にすべきです。官は、カネは出すが、口は出さないに徹すべき。
この運営には、人材が重要です。ここで事業経験を積んだ人たちが全国の公民館、文化施設のコーディネーターやキュレーターとして活躍できるような、そのような「人材の養成」もおこなってはどうでしょうか。

展示・上映は、このセンターではおこないませんが、全国の施設の要請に応じて、展示・上映のアドバイスやコーディネーションをするような機能は考えられます。その意味でも、このセンターがハブ機能を果たすべきと考えます。

ハコではなく、ヒトに、大切な国税を投じていただきたいと切に願っております。


以上。アイデアを述べさせていただきました。

伊藤裕美
オフィスH(あっしゅ) 代表

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