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今年のアヌシー国際アニメーションフェスティバルの長編部門観客賞とユニセフ賞を受賞した、長編ドキュメンタリーxアニメーション映画『はちみつ色のユン』の公開が決定しました。

本年12月22日より、ポレポレ東中野と下北沢トリウッドにて。

朝鮮戦争後、韓国では20万人を超える子どもが養子として祖国を後にした。
その中の一人、ユンは、ベルギーのある一家に「家族」として迎えられた。
そして40年後、ユンは初めて韓国に帰郷する―

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■解説■
本作は、韓国系ベルギー人のユン監督自身の半生を描いたドキュメンタリー映画です。韓国で生まれ、ベルギーで育った彼の数奇な運命を、彼自身が出版したマンガ「肌の色:はちみつ色」を元に、フランスのドキュメンタリー映画監督ローラン・ボワローと共同監督しました。

血の繋がりがないどころか、顔立ちも髪の色も外見が全く違う親子関係を作る国際養子。そこに当然存在する、「家族」の一員になれるのか、という不安。更に、成長するにつれてより強く意識する、自分のルーツ。自分は何者なのか、どこから来たのか、という根源的な問いかけ。そういった様々な想いを持ちつつ、絵を描く才能にも助けられながら、新しい自分を作り続けるユンの決心、そして家族、母親との結びつきが描かれています。

この作品の驚くべき点は、75分の作品が、現代のソウル、1970年当時の8ミリフィルムや記録映像といった実写映像と、手描き、CGによる3Dアニメーションといったアニメーション映像の両方で描かれていることです。この革新的なスタイル(実写とアニメーションのハイブリッド)が、アジアで生まれ、実母と別れ、育ての親とヨーロッパで育ち、フランス語を覚え、祖国と母語を忘れ、というユンが体験した目まぐるしく変わる人生を、我々がまるで視覚的に追体験しているかのように感じさせてくれます。

肌の色が異なり、国籍や人種が違っても、血の繋がりがなくても、「家族」として愛せることをそっと私たちに伝えてくれる『はちみつ色のユン』は、世界最大規模のアニメーション映画祭である「第36回アヌシー国際アニメーションフェスティバル」で観客の大絶賛を受け、長編アニメーション部門観客賞とユニセフ賞を受賞しました。フランス、ベルギーでは本年6月に公開し、ロングランヒットを記録。その他の国も順次上映が決定し、日本では2013年お正月映画としての公開が決定しました。

■あらすじ■
1960年代から70年代、朝鮮戦争後の韓国では20万人を超える子どもが養子として祖国を後にした。その中の一人、ユンは、ベルギーのある一家に「家族」として迎えられた。髪の毛、肌の色が異なる両親、そして4人の兄妹、カテリーン、セドリック、コラリー、ゲール。

生まれて初めてお腹一杯ごはんを食べ、おもちゃを持ち、路上生活や孤児院を忘れることが出来たユン。フランス語を覚え、韓国語を忘れ、絵を描くことで実母の幻影と会話しつつ、外見の違いを気にしない新しい家族と暮らす日々。そして、画才に目覚めていく。彼の第二の人生が始まった。

そんな時、「家族」にもう一人、韓国からの養女・ヴァレリーがやってくる。彼女を見たとき、彼は自分が何者なのか、を意識し始めた―。

■韓国からの国際養子とは?■
朝鮮戦争(1950年-1953年)後の韓国では、多くの戦災孤児や貧困により、20万人を超える子どもが養子として祖国を後にしました。国際養子として韓国を離れた子どもたちも現在多くが30~50代となり、アイデンティティの喪失などによって生きづらさを抱える者もいれば、政治家、スキー選手など、複雑な出自にも負けない者も各所で話題になっています。
本作は監督でありマンガ作家のユンの数奇な運命を、彼自身が執筆したマンガ『肌の色:はちみつ色』を元に、ドキュメンタリー映画監督ローラン・ボワローと共同監督した、知られざる韓国国際養子の歴史も見つめた作品です。

■はちみつ色のユン■
監督:ユン(Jung)、ローラン・ボワロー(Laurent Boileau)
2012年、フランス・ベルギー・韓国・スイス、75分

原作:Couleur de peau: Miel(「肌の色:はちみつ色」出版:クアドランツ/ソレイユ、作者:Jung)

製作:モザイク・フィルム(フランス)、アルテミス・プロダクシオン(ベルギー)、フランス3シネマ(フランス)、パンダメディア(韓国)、ナダスディ・フィルム (スイス)

配給:トリウッド、オフィスH

公式サイト>>

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