オフィスH  誠信の交わり

オフィスH(オフィスアッシュ)のブログです。世界から、豊かな物語を紡ぐ個性的なアニメーション映画や独立系作家に役立つ情報を紹介します。

片淵須直監督のアニメーション映画「この世界の片隅に」は、観る人の思いがそれぞれに広がる映画ですね。
主人公ののんびり屋のすずさん(のんさんの声が、その雰囲気にぴったり)、彼女の祖母、実家や嫁ぎ先の人たち、ご近所さんたち、遊郭のリンさん、呉の海軍で働く人たち、広島の人たち、みんな普通の人たち。
誰一人戦争を始めた”責任者”ではないけど、誰かが始めた戦争の責任を取らされた人たち。
映画によいシーンは数々あったけど、あの”玉音放送”が終わって、「さてっと」と立ち上がり、今日の暮らしに戻っていくおばさんたちのたくましさが、わたしには一番印象的でした。

ところで、吉永小百合さんが昨年8月のTBSのラジオ番組で次のように語ったそうです:
「私は若いころ、母に『なぜ戦争は起こったの? 反対はできなかったの?』と質問したことがあるのです。
そしたら母は、ひと言『言えなかったのよ……』って。言えないってどういうことなんだろうと、その時には理解できなかった。けれど最近、母の言っていた意味がわかります。今の世の中を見ていると息苦しい感じがして」


「この世界の片隅に」の人たちも戦争を起こす前に反対しなかっただろうし、戦時下になってからは何も言えなくなったのでしょうね。
映画では、呉の港を写生しているすずが官憲に詰問されるシーンがあります。軍の港や戦艦を絵にすることがスパイ行為だった時代。

何も言えない時代に後戻りしないよう、普通の人たちがモノ言っていかないと。
リテラが、メディアでモノが言いにくくなってきた昨今だからこそ、「新年特別企画・芸能人「よく言った」大賞」を選んだそうです。
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わたしが知らなかった発言もたくさん。ご紹介します。
10位 マツコ・デラックス:世間は大評価の安倍マリオと小池百合子にいちゃもん! 久しぶりの毒舌にさすがの声
9位 ウーマンラッシュアワー村本大輔:ベッキーバッシングの空気に負けず擁護発言、スポンサー批判も! ゲス芸人の意外な真っ当さ
8位 みうらじゅん&宮藤官九郎:政治発言とは無縁のサブカル2人組がまさかの危機感表明!「憲法を変えるとか勘弁して」
7位 渡辺謙:国際派俳優が安保法制に続いて日本政府の核廃絶への消極姿勢に怒りのコメント
6位 大竹しのぶ&明石家さんま:しのぶは「戦後レジーム脱却」に反論、さんまも戦争加担批判…2人は反安倍でも息ぴったり
特別賞 長渕剛:「騙されねぇぜワイドショー」 今回の長渕は『FNS歌謡祭』で
5位 井ノ原快彦“安倍サマのNHK“で『あさイチ』は頑張った! 叩かれても平和を主張し続けると決意表明
4位 吉川晃司:CM契約切られても貫く安倍政権批判と反原発の姿勢!「金や権力では黙らない」宣言も
3位 吉永小百合:安倍応援団の下劣な攻撃にも屈せず「憲法擁護」の姿勢を貫いた大女優の気骨に拍手!
2位 水原希子:炎上に屈せず堂々と靖国にNO!「戦争に断固反対している」のメッセージ
大賞 大橋巨泉:「安倍晋三に一泡吹かせて下さい」死の一週間前に命を削って発したこの言葉が文句なしの大賞! 続き

大橋巨泉さんが「安倍晋三に一泡吹かせて下さい」と、日本の普通の人たちへ奮起を呼び掛けたのとは裏腹に、昨年夏の参院選で日本国民は”安倍晋三”へ、憲法第9条改変、米国との運命共同体、原発再開、沖縄県民の自治心への背信、メディアや歴史教育への圧力を許す手形を与えてしまった、ように思います。

昨年末、朴槿恵(パク・クネ)大統領とその取り巻きたちへの弾劾の声を緩めない韓国の普通の人たちが日本のメディアにも連日登場しました。年明けたら、パタリと抗議する姿の”報道”が止まったけど・・・。
日本にいると、ソウルの抗議集会は唐突で、あのエネルギーはやっぱり大陸的だわぁ~とか思ってしまう(申し訳ない!)。
李泳采(イ ・ヨンチェ) さんの「アングリー ヤング ボーターズ 韓国 若者たちの戦略的選択」(梨の木舎)を読んだら、わたしの無知、浅はかさを思い知らされた。
韓国では昨年4月の総選挙前に野党が分裂し、朴大統領の与党が絶対有利、圧勝という状況になったにもかかわらず、若者そして普通の人たちが”戦略的選択”をして、与党大敗北と野党勝利をもたらした。
朴大統領を取り巻くスキャンダラスな政治状況は、その総選挙で勝ち取った普通の人たちの成果なのですね。

当たり前のことが普通に言えなくなる前に、普通の人として、わたしも自分がやるべきことを、この日本でし続けなければと、思うのです。

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